マンション購入を考えた人なら、一度は聞いたことがあるはずです。
確かに管理状態の良いマンションと、悪いマンションでは、同じ築年数でも、見た目が全然違いますし、古くなった時に大きな差が出てきています。
もっとも、管理状態の悪いマンションは、当初の販売時点でローコストマンションだという面もあるので、管理状態ばかりが原因ではないのでしょうが。
それで、不動産やってる人間として、この点で不思議なのは、「マンションは管理を買え」といわれて、管理状態の良さを売り出しのセールスポイントにしているマンションでも、確かに日常の共用部分清掃状態などの管理は良くても、当初の月々修繕積立金額が低すぎることです。
中古マンションを扱っているので分かりますが、ほとんどのマンションが10年もすれば、当初の修繕積立金を、倍近くに値上げしています。
新築分譲時点で既に、当初設定の修繕積立金額では、修繕費が将来不足するのは、分譲主のマンション業者は分かっているんですね。
それなのに、新築分譲時点では、修繕積立金を低く設定して、売っています。
将来の修繕計画を見越し、修繕積立金を設定したのでは、月々の支払いが上がり、売りにくいからというだけの理由でそうしているわけです。
なぜ、こんな事になっているのか?
これは新築マンション業者にも、もちろん責任があると思いますが、購入者側にも問題があるからだと思います。
購入者も、当初の月々支払い金額だけで、購入を判断してしまう面があるからです。
おかしいと思いますね。
マンションが日本で販売され始めて、まだ日が浅いというならまだしも、古いマンションは30年以上経ちます。
近頃は、修繕金不足でスラム化しているマンションが、問題化し始めているにもかかわらずですから。
それでも最近ようやく、10年20年30年後の将来的な修繕計画を、新築販売時点でたてたマンションが、売り出されているみたいです。
が、まだまだ少数で、半数以上のマンションが、相変わらず不足するのが分かっている積立金の設定で売られています。
当たり前の話ですが、修繕はどんなマンションであっても、絶対に必要なんです。
月々の積立金が低ければ、やらなくていい、なんてものじゃありません。
日常の管理状態が、ホテル並みに受付嬢がいるなんていうのも、悪くありませんが、「管理を買え」の本当の意味は、「将来にわたっての修繕計画がキチンと出来てるか、よく見極めて買え。修繕しないといけないのに、その金も無く放置されるようなマンションは買うな。」の意味です。
「管理を買え」の、管理の意味を、日常の管理だけで捉えている人が多いんじゃないでしょうか?
もう少したてば、マンションのスラム化が、きっと社会問題化してきます。
当初の月々修繕積立金額が低ければ、修繕計画のずさんなマンションとして逆に売れない。
そんな時代に、早くなってもらいたい。そう思います。