母の持ち物のアパートの事ですが、ご相談させてください。
住人の女性が昨年の11月までしか家賃を入れていません。
それも不動産屋や母が かなり催促したあげく 遅れ遅れでの入金です。
母も困り果てて 不動産屋に司法書士を紹介していただき、滞納分はもう諦めるので、何とか出て行ってもらえるようにお願いしているそうです。
司法書士の言うには、立ち退きを要求するには今までの滞納分を諦めたあげく引越し費用を出さなければいけないそうで、もうお願いして3ヶ月たつけれどときどき家賃滞納者に電話をいれているくらいで 何もしてくれないそうです。
その女性もなかなかの曲者のようで、何度催促しても一万円くらい入れてみたり、のらりくらりとかわし、話し合いで立ち退いてくれそうにはありません。
もう滞納が7ヶ月分くらいになるので、裁判所に訴えたほうが良いのでしょうか。
もし裁判所から立ち退き命令が出たとしても、それを執行できるのでしょうか。
また、訴えの際には、滞納分の請求はできますか。
母も高齢で私が何かと相談にのらなければいけないのですが、何分私にも分からないことだらけでぜひお知恵をお貸しください。よろしくお願いします。
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回答
どうすればよいのかが、分からないのでしょうね。
どういった手順で、明け渡しを求めていったらよいのかが。
まず、司法書士に頼んだとのことで、依頼した内容が分かりませんが、滞納家賃の催促を頼まれたのだろうと思います。
だとしたら、内容証明郵便を送ったくらいで、時々電話を入れているのも、その司法書士から言わせると、サービスでやっているくらいのつもりなのでしょう。
こうしたパターンでは、ずるずる1年経ち、気がつけば1年半経ちになる事が多いようです。そうならないためには、てきぱきと事を進めなくてはいけません。
これからの順序を言えば、まずこの司法書士に、解決の見込みを聞く。
はかばかしい返事でなければ、この司法書士に頼るのは止めて、明渡しの訴訟を行なってくれる弁護士を探す。
こうなりますが、出来れば弁護士に依頼する前に、入居者と会って直接話をしたほうが良いと思います。
最終的に話しがつかず訴訟を起こせば、相手の女性の生活困窮度、どの程度家賃を払おうと努力しているのかにもよりますが、明け渡しが認められる可能性が高いと思います。
その場合、追加の引越し代は必要ありません。
それなら訴訟を起こせば良さそうなものですが、現実はそうでもありません。
そうする前に話し合いで、解決したほうが良い理由を書きます。
まず弁護士を探す場合に注意しないと、弁護士によっては、やる気が無いのか思想的になのかは分かりませんが、入居者寄りで大家側に不利な条件での、和解を勧められる事があるようです。
私の聞いたケースで、8ヶ月の滞納者の明渡しで、
1. 明け渡しは6ヶ月後。その間の家賃は無し。
2. 今までの滞納分もチャラ。
3. 更に引越代として、ウン十万円の支払い。
で、和解させられた話しを聞いたことがあります。
もちろん弁護士費用も支払わないといけないわけで、大家からすると、まさに踏んだりけったりです。
こんなバカな例が有るから、大家の中には同じ金を払うなら、滞納入居者に盗っ人に追い銭するのもシャクだし、ヤクザに頼もうか、なんて人間が出てきたりします。
そんな人間が出てこないようにするためにも、弁護士も裁判官も、思想的にどうであれ、あんまりおかしな事しちゃいけないんですけどねえ。
と話しがそれたので戻して、次に滞納家賃の件は、本人に金が無ければ、支払えとの判決はもらえますが、差し押さえる財産も無いのでしょうから、現実には取れません。
相手の女性が、キチンと正社員として勤めていれば、給与差し押さえも出来るでしょうが、滞納者ならそんな事でもないのでしょうから。
まとめるとこうなります。
1. 弁護士費用がかかる。(弁護士にも、地方にもよるでしょうが、30万円位?)
2. 滞納家賃は、現実にはあきらめるしかない。
3. 和解を勧められる事も多く、その場合は引越代の負担も提示される事がある。
そんな訳ですから、本当は弁護士に頼む前に、一度入居者と直接面談して、これから弁護士を立てて訴訟を起こすつもりでいる事、そうした場合当然自分達が勝つが、判決まで2・3ヶ月かかるので、3ヶ月以内に出て行くなら、過去の賃料・3ヶ月の家賃も免除してやるので自発的に出て行かないか、と交渉されるのが一番良いのですが。
そしてそれでも相手が応じないなら、その時は本当に訴訟すればいいかと。
あと、注意点を1つ。
訴訟前の話し合いですが、相手が同意した場合に備え、
1. 本日付で賃貸借契約を合意解約した事。
2. 明け渡しを何月何日まで猶予する事。
3. 明け渡し後、入居者の残置物がある場合、その所有権を放棄したものとし、大家側で任意に処分できる事。
を盛り込んだ、合意書をあらかじめ作成して、話し合いに臨んだほうが、相手が同意した場合に、即文書を取り交わす事が出来ます。
どちらにしても、即行動を起こされたほうが良いです。
人の良い大家さんに多いのが、催促に疲れてしまうのか、悪い事をしているように感じるのか、ずるずるになって、解決したのが2年後なんていうパターンです。
どんな事情があるにせよ、家賃を滞納している入居者に遠慮する必要はありません。
入居者にすぐ会う。
話しがダメならすぐ、弁護士を探し依頼する。
弁護士に依頼すれば、家賃滞納は事実関係を争うような事も無い単純な話しですから、心配しなくてもすぐ片付きます。
あまり負担に感じる必要はありませんよ。
お気楽に。